「ササエルの中には誰もいない」は漫画が上手すぎる。

はじめましてこんにちは。

よく来たな。

私の名前はモサ。

しがないきらら好きだ。

 

諸君、漫画が上手いとは何だ?

絵が上手いことか?

お話が面白いことか?

技巧が優れていることか?

 

否!!!!!!!!!!

漫画が上手いとは、それら全てをバランス良く満たしていることを言うのである!

 

サムネ用画像。

 

はい、と言う訳で謎のテンションで始まった今回ですが、お題はタイトルにある通り「ササエルの中には誰もいない」の紹介です。何か最近普通に紹介するのに飽きてきたので、今回はちょっと捻ってみました。捻りすぎて捻挫するかもしれませんが、そこは優しく見守って欲しい。

それでは、行ってみましょう。

 

①キャラクター

今回はいつもやってる前置きは省略して直ぐに本題に入るぞ。

本作の主人公・駒蔵小依は女子高生とご当地キャラ・ササエルの中の人という二つの顔を持っているのだ。

 

 

二面性があるキャラ、というのは別にそんなに珍しくありません。むしろ幾つかパッと思い付く人が多いと思います。表の顔は高校教師で裏ではヤクザとか、表の顔は地味な女子高生で裏ではアイドルとか、色々ありますね。割と主人公にあてがわれることが多い印象があります。

では何故この設定は今なお受け入れられているのでしょうか。一つは「深み」が増すためだと思います。二面性、二つの顔があるキャラは最低でも二つの世界を持つことになり、一元的な世界よりもグッと奥行きが増しますね。まぁ上手くやらないととっちらかるんですけど。

もう一つは「変身願望」です。要するにプリキュアとか仮面ライダーです。人は多かれ少なかれ今と違う自分になることに憧れます。まぁ現実で二面性がある人は大体ヤバい奴ですが、フィクションなら綺麗でいられます。

そんな訳で、ササエルこと小依さんはかなり主人公としての強度が高いキャラクターであると言えます。

さて、ここまでは小依さんについて語ってきましたが、次はその周りの人物についてです。大きく三つに分けることが出来ます。それは「ササエル関係者」「ササエルのファン」「ササエルのライバル」です。

 

ササエル関係者、姉の日和子と会長の雲雀。

 

ササエルのファンで同級生の稲井とヤッチー。

 

ササエルのライバル、クジベェくんの中の人の常子と直希。

 

はい、ここで注目することがありますね。それは「各グループ二人ずついる」ということです。

二人いると何が良いのか?思い付くままに挙げますが、まずそのグループ内で関係が生まれます。次にそのグループだけで話を動かすことが出来ます。他にはササエルを中心にトリオ漫才が出来ます。色々と出来ますね。

勿論、今挙げた三つのグループはそれぞれ独立しているのではなく、話が進むに従って交流が生まれていきます。三つのグループはササエルというキャラクターに対して情報の持ちようやスタンスに差があるので、自然とリアクションが変わってきて話の展開を飽きさせません。

このように、ササエルの周りには多様なキャラクターがおり、人間関係を複雑にさせて面白くなっているのです。

 

②ストーリー

それでは次はストーリーについてです。

ササエルの大きなメインストーリーは「ご当地キャラとして頑張って知名度を上げる」というものですが、このメインストーリーに付随して描かれているのが「小依の成長」です。

 

最初はお金目当てだった小依。

 

しかし仕事中にヤッチーの秘密を知ったことでヤッチーを励ますことも。

 

ライバルの常子も困っていたら放っておけなくなった。

 

きらら作品は「変化の無い日常を淡々と描く」みたいな風に思われがちで、実際にそういう作品もありますが、大部分の作品は常に「変化」を起こしています。この変化はとても重要です。変化があるからこそ「続きが気になる!」という気持ちも湧いてくるものです。もし仮に1巻分丸々何の変化も無い作品があったとしたら、後から読み返す時に「その巻別に読まなくてもいいよ」って言うと思います。

また、これはストーリーのネタバレになるので詳しくは言いませんが、ストーリーが進むにつれてササエルの活動範囲はドンドン広がっていきます。メインストーリーがサクセスしていく過程が面白いのは単純に強いですね。

 

さて、ここまでは真面目な話をしてきましたが、実はもう一つ触れておきたい点があります。それは「エロ」です。

 

 

実のところ、キャラットには他にもエッチな作品は沢山あるので、特にササエルだけがエッチという訳ではないのですが、やはりキャラットの新時代のエロを担って欲しいという想いはあります(捨てちまえそんな想い)。

そもそもきららはエロ漫画雑誌ではないので、過剰なエロはNGです。だからと言って日和ったエロでは読者を満足させられません。丁度良い塩梅が必要なのです。

エロは、何故か漫画読みの中でさえも低く見られがちですが、実際はそんなことはありません。人の煩悩を掻き立てるということは非常に高度なことなのです。これからも是非そこら辺を注目して読んでいきたいです。

 

③漫画技巧

最後は、テクニックについてです。正直、この分野はあまり得意ではないので、おおらかな気持ちで読んで欲しい。

この項で言いたいことはただ一つ、それは「情報量のコントロール」です。

 

 

上のコマを例にすると、1コマ目では伊達かまの店の外観がかなり詳細に描かれています。しかし2コマ目以降では、店の外観はほとんど出て来ません。これは我々読者は一度場面を記憶すれば、しばらくの間は特に描写が無くても「その場所である」ことを勝手に補完しているからです。

全てのコマにハイクオリティな背景が描かれている作品も、探せばまぁあるでしょうが、コストや手間と得られるメリットを勘案すれば現実的ではありません。上記の様に、読者の想像力を利用するのも一つのテクニックなのです。

 

 

もう一つ例を挙げると、それは「台詞量」です。ササエルを読んでいて思うことは、1コマ当たりの台詞量の少なさです。

台詞量が多いと、当たり前ですが読者は読むのに時間がかかります。特に苦労はしないという人もいると思いますが、人によっては「読むのが疲れる」となってしまいます。

これは色んな意見があると思いますが、私は「漫画、特に4コマ漫画の台詞は少なければ少ないほど良い」と思っています。理由は上に挙げた点と、伝えたい点をシンプルに伝えた方が余計な詮索をしなくて済むからです。勿論、キャラクターによっては台詞を長く喋ることが個性である場合もありますし、一概には全部そうだとは言えないのですが、少なくとも取っつきやすさという点ではそういう考えもあるということです。

 

以上です。

いかがだったでしょうか?

まぁ最終的に何が言いたいかというとササエルめっちゃ面白いから読んでねってことなので、是非読んでみて下さい。

 

 

それでは、またどこかで会う日まで。

さようなら。