ぼっち・ざ・ろっく!は勇気の物語であるという話(舞台ぼっち・ざ・ろっく!Part2の感想)

はじめましてこんにちは。

よく来たな。

私の名前はモサ。

しがないきらら好きだ。

 

2024年9月7日(土)〜9月23日(月)まで、東京新宿は歌舞伎町タワーのシアターミラノ座にて舞台ぼっち・ざ・ろっく!が行われていました。実際のところは最初の3日間(9/7〜9/9)は関係者に体調不良者が出たとのことで上演は中止となっており、9/14が実質の開始日となっています。

今回の舞台は形式がちょっとややこしいことになっているので詳しくは公式HPを確認して欲しいのですが、まずこの舞台ぼちろは2023年に一度上演されています。これをPart1とします。そして今年の2024年はその続編となるPart2が上演されました。ただし、2024年はPart1とPart2の両方が上演されています。どの日にどっちが上演されたのか詳しいスケジュールは各自確認して下さい。

さて、私は9月21日(土)の昼と夜にPart1とPart2を続けて観てきました。ので今回はその感想を書き留めておこうというやつです。ちなみに観てからちょっと間が空いたのは単純に私の体力の問題でそれ以外の意図はありません。なお、昨年のPart1の感想は昨年に書いていますので、良かったらそちらもご覧ください。

それでは、行ってみましょう。

 

○Part1の振り返り

基本的にPart1は再演ですので昨年から大きな変化はありません。ですので昨年の感想をそのまま読んで頂ければいいのですが、幾つか違った点も有りましたのでそれを以下に挙げておきます。

 

・新札

今年7月に千円札五千円札一万円札が新札になったことは記憶に新しいところですが、ぼちろでは作中で何度もお金の話が出てきますよね。はい、そういう訳で、舞台で使われるお札が新札になっていました。なんでやねん。

 

・曲

作中での台風ライブでの三曲目、原作では不明であり、アニメでもテレビ版では不明でしたが劇場総集編後編でドッペルゲンガーをやっていたことになりました。舞台では昨年は青春コンプレックスだったのですが、今年はアニメに合わせてドッペルゲンガーになっていました。ちなみに私はこれを聴いた時結構ビックリしました。よく考えれば納得なのですが、予想してないとドキッとしますね。

 

○Part2のあれこれ

・存在しない記憶

Part2はまずふたりちゃんの前説から始まりました。ふたりちゃんの前説!?ふたりちゃんなら前説くらいやりますよ。

そして次に、前回のあらすじということで今までの話のダイジェストが歌って踊りながら流されました。ちなみに後藤ひとりは完全に置いていかれました。主役を置いていくな。

 

・いざ江の島へ

結束バンド四人は電車で江の島へと向かうのですが、割とその過程がネットリと描かれていました。私は江の島に行ったことが無いので実際にどんな駅を通過していくのかは知らないのですが、下北沢からだというてもまぁまぁ遠いですよね。

 

・ブレインジャック

江の島では喜多ちゃんが階段を登ることを提案し、他の三人が難色を示す下りがありますが、その部分がよりエキサイティングになっていました。具体的に言うと喜多ちゃんが歌いだし、ぼっちちゃんのイマジナリーフレンドを仲間にして一緒に踊っていました。イマジナリーフレンドにはこういう使い方もあるんだ!(そうなの!?)

 

サイケデリック

廣井さんたちSICK HACKのライブシーンも勿論ありました。不思議な気持ちになれるよ!

 

・客席を広く使う

Part1でも廣井さんが初登場時に客席から出てくるという演出がありましたが、Part2ではより客席を使った演出が目立ちました。具体的には、SICK HACKライブ時に実際に結束バンドの四人が客席の端にいたり、その時に我々観客に話しかけたりしていました。それ以外にも、観客から楽器経験者を募ったり、体育館の下見に来た時は本当に客席に降りてたり、文化祭ライブの時は客席側にいる人たち(店長、廣井さん等)は客席の端にいたり、ぼっちちゃんは実際に客席の通路にダイブしたりしました。演者が隣通るとドキドキするよね。

 

・着替えの時間を稼ぐ歌

文化祭前半の見所としてみんながメイド服になることがありますが、ここで舞台ならではの問題が発生していました。つまり、舞台では着替えにどうしても時間がかかるという問題です。漫画やアニメなら場面が切り替わった時にパッと服装が変わっていても何の問題もありませんが、生身の舞台ではそうはいきません。通常は舞台袖にはけた時に上手くやりくりしてると思いますが、流石にこの場面はそうは行かなかったので、思い切って歌って踊って誤魔化すことにしました。時間としては5分も無かったと思いましたが、これも舞台ならではだな〜、と思いました。

 

・文化祭ライブ

文化祭ライブでは皆さんご存知ぼっちちゃんのギターの弦が切れてしまうのですが、それも勿論再現されていました。ボトルネック奏法もやったよ!あと、漫画やアニメでは演奏しながらキャラの心情が描かれていましたが、舞台ではその辺は演奏後にまとめられていたので、実際に文化祭ライブがあったらこんな感じだったのかな〜、何て思いました。

 

・締めのミニライブ

最後のミニライブの曲目は、小さな海、転がる岩、君に朝が降る、星座になれたら、青春コンプレックスの4曲でした。転がる岩、君に朝が降るは勿論ぼっちちゃんがボーカルでした。星座になれたらは文化祭ライブとは違いぼっちちゃんのギターの弦が切れなかったらバージョンでお送りしています。最後のミニライブはPart1もそうでしたがスタンディングOK、手拍子OKだったので盛り上がりましたね。

 

○ぼっち・ざ・ろっく!、それは勇気の物語

2024年は劇場総集編の前後編があり、更に今回の舞台と、ぼちろファンはこの短期間でアニメ化の範囲を擦りに擦り倒しているのですが、こうやって通して何度も観ることで、また新たな発見もありました。

それは、「ぼっち・ざ・ろっく!は勇気の物語である」ということです。

ぼちろのテレビアニメが放送されていた時、「ぼっちちゃんは陰キャっていうけどさ〜、あんだけ可愛くてギターが上手かったらそりゃ上手くいくよな〜。それに比べて俺は……」といった呟きをそれなりに見かけたのではないでしょうか。当時の私はそれほど何とも思わなかったのですが、今ならハッキリとこう言えます。

「ぼっち・ざ・ろっく!において、ぼっちちゃんが可愛いことやギターが上手いことは最重要ではない。最も重要な点はぼっちちゃんが『勇気』を出したという点である。ぼっちちゃんとお前に違いがあるとしたらそこである」

ぼっちちゃんは人見知りでバンドを組めずにいましたが、虹夏ちゃんに誘われてライブハウスに連れられます。しかし今まで人と合わせて演奏してこなかったぼっちちゃんは上手く行きません。それでも、ぼっちちゃんは「こんなチャンス二度と無い!」と勇気を振り絞ってライブハウスのステージに立つのです(完熟マンゴーでしたが)。そうです、ぼっちちゃんに最初に求められていたのはギターの腕前ではなく(勿論容姿でもなく)、一歩を踏み出す勇気だったのです。我々視聴者は「ぼっちちゃんはギターが上手い」という情報を知っているので先入観で「ぼっちちゃんはギターが上手いからあの場所にいられるんだ」と思いがちですが、実際はぼっちちゃんのギターの腕前はアニメ化の範囲ではそこまで仲間内では重要視されていません(喜多ちゃんと知り合うきっかけになったりはしていますが)。これはぼっちちゃんが度々「ヘマしたら追い出される〜」と妄想してるせいでもありますが……

それ以外でも、ぼっちちゃんはバイトを始めたり、喜多ちゃんを引き止めたり、歌詞を書いたり、路上ライブをしたり、家に友達を呼んだり、文化祭ライブに出たり……と、幾つもの勇気を振り絞り殻を破ってきました。ぼっちちゃんの魅力は容姿やギターの腕前、意外とお調子者なとこ、数々の奇行などもありますが、一方で主人公として正統派な「現状を打破する突破力」も無視できないところです。もし貴方がぼっちちゃんのようになりたいのなら、それはピンクのジャージを着てギターを弾くことだけではなく、色んなことに勇気を持ってチャレンジする、それもまたぼっちちゃんであると言えるのではないでしょうか。

 

○舞台ならではのこと

漫画、アニメ、舞台はそれぞれの媒体の違いによる様々な差があります。その差を楽しむこともまた一興ですが、今回は舞台を観ていて感じた「舞台ならではのこと」について幾つか挙げたいと思います。

一つは「間」です。Part2では喜多ちゃんがぼっちちゃんに声をかけるシーンが2回ほどありますが、話しかけてから話し始めるまでの間が舞台独特だなと思いました。これはどういうことかというと、漫画やアニメ、またはドラマや映画もそうですが、これらは基本的にミステイクは無いじゃないですか。特に意図が無ければわざわざ失敗シーンを入れるなんて尺の無駄ですし、NGを出したなら撮り直すだけですね。でも、舞台ってそこは違うじゃないですか。基本本番一発勝負ですし、台詞が飛んだり間違えたりすることはプロでも起こり得ないとは言えないでしょう。だから喜多ちゃんが「後藤さん!」って言った後に数秒間の沈黙があった時、劇場内は凄く緊張感があったと思います。それは勿論少し失礼ながら「台詞飛んでないか?」という心配もあったのですが、生身の人間が目の前で演じているという「次に何が起こるかはまだ決まっていない」という舞台ならではの緊張感だったと思います。

もう一つは「手間」についてです。今回のPart2で地味に噴いたのが、文化祭のシーンで「フランクフルトいかがっすか〜」って言ってる子がちゃんとデカいフランクフルトを持っていたことです。そこ再現するんだ……(MAD動画でよく使われていたので覚えている人も多いかも)それ以外にも、ほぼ1シーンしか出てこないファミレスのセットとか、保健室の布団とか、可能な限り原作を再現しようという心意気を感じました。まぁよく考えたらPart1の時点でほぼ一度しか出番の無いツチノコぼっちや承認欲求モンスターの着ぐるみを用意してるので今更でしたね。最近は何かとタイパコスパと叫ばれる世の中、それは創作でも例外ではなく手間がかかるものは作る方も観る方も敬遠しがちです。そんな中でも、舞台を作ってる人はたった1シーンのために大量の小道具やセットを作ってるんだと思うと少し不思議な気持ちでしたね。そういう点が、舞台が単なる娯楽ではなく芸術的な側面がある所以かもしれませんね。

 

以上です。

いかがだったでしょうか?

私はよく知らないですけど、まだ舞台の動画がアーカイブで観れたりするらしいので、良かったらそちらも観てみて下さい。円盤を予約するのもいいですね。

 

それでは、またどこかで会う日まで。

さようなら。